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業務形態によって、コードに特定の意味を持たせている場合もあり、これを無色のコード体系に変更することは従来の事務処理方式に影響を与える可能性もあろう。

いずれにしても、これら既存の個人コードを住民基本台帳コードヘ移行するためには、以上のような点を考慮して、かならずしも置換えることは必須ではないが、少なくとも、両者の間に連携がとれるようになっていて、個人番号や社会保険番号との連携が図れように配慮されなければならない。これができないと、複数機関をまたがる行政サービスの提供等の新しい行政サービスの実現は不可能である。

 

(5) 統一個人コード導入上の課題

国民の大多数又は全員に識別コードを付し、それを維持・管理するための課題として、事務処理用統一個人コードの検討時に問題とされた、「世の趨勢及び国民のコンセンサス」の2つの課題をクリアーしなければならない。これらの課題で、20年前の当時と異なる点は以下のとおりである。

?@ 個人情報保護対策

事務処理用統一個人コードが検討されていた当時は、コンピュータ処理に伴う個人の情報を保護する法律及び条例等は全くなく、そのため、個人コードの統一に伴うプライバシーの侵害のおそれが議論の焦点となった経緯がある。その後、地方公共団体におけるコンピュータ導入の進展が進む中で昭和50年代に入って個人情報保護条例の制定が進められ、国の行政機関においても、昭和63年12月16日、『行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律』が制定され、国が保有する個人に関する情報に関して包括的な保護対策が講じられた。

?A 情報通信ネットワーク技術の進歩と普及当時、各省庁における情報化は一部の業務処理に限定されており、オンライン・システムも極めて限られたものであった。最近のパソコンの普及、省庁内LANの構築、省庁間ネットワークの構築、外部とのネットワーク構築の容易さ、民間商用ネットワークの普及、国際的なネットワークの進展等は、情報通信ネットワーク環境に大きな変化・発展をもたらしており、社会全体だけではなく、行政においてもネットワークの活用が一般化しつつある。また、情報通信ネットワークのセキュリティ技術も向上し、データの保護やネットワークの安全性も高まってきている。

?B 国民のコンセンサス

 

 

 

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